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「20世紀少年」雑感いろいろ。サダキヨについて。
これは考察ではなく、単なる感想に近く、ヒントになるかわからないのですが、一応書いておきます。
18巻まで一気読みした時点で、いくつか疑問に感じる点がありました。その一つが、サダキヨの心理です。なぜ彼はナショナルキッドのお面をかぶっていたのか。
10巻159ページで、いじめられた理由の一つとして、「変なお面をかぶっていたから」と本人が回想しています。
一般論で考えてみて、常時子どもがお面をかぶる理由として、まず容姿コンプレックスが考えられます。それから変身願望でしょうか。後は、他者との関わりを絶つ目的で外界をシャットダウンしてしまうため。サダキヨにはすべて当てはまらないですよね。「無視されるよりいじめられる方がマシ」といういささか歪んだ心理状態にあったのでしょうか。けれど回想のいじめシーンは、心底つらそうに描かれています。
彼は「友達がほしかった」と言っています。存在を認めてもらいたかったのでしょう。でもそれは「変なお面をかぶった少年」としてでなく、あるがままの自分だったでしょう。彼は後に教師になって、受け持った生徒の顔と名前は絶対忘れない、と誓っています。
もちろんいじめられ追いつめられて、お面をかぶることに固執してしまった異常心理、というのも考えられなくもありません。しかし。

もしサダキヨが、素顔を隠していたいと思っていたのなら、なぜ遠足の写真に、自分がちゃんと写っているものが一枚もなくて落胆するのでしょうか? 正面を向いてほほえんでいるかつての自分が写っている写真を見て、そしてそれを大事に保管してくれていた関口先生に対して、なぜ涙するのでしょうか。

しかしながらサダキヨはかたくなに、授業以外はお面をかぶっていました。誰かに命令されたとしか考えられませんでした。誰にでしょうか。
ケンヂたちの小学校に転校してくる前のクラスメートだった、とは考えにくいです。転校を機に、お面をはずせばいいからです。ケンヂたちの小学校の誰か、ということになります。当然フクベエかヤマネしかいません。なぜなら、ヤマネの言葉によると、この時点(1969年2学期)で「しんよげんの書」を書いているメンバーは3人だからです。サダキヨが自分たちの小学校に転校してくるとは思っていなかったでしょう。となると矛盾が出てきます。
16巻を素直に読むと、サダキヨは1969年(4年生)からキッド面で過ごしていたことになります。フクベエグループの誰かの目が光っていない小学校では当然はずしていたでしょう。ケンヂたちのテリトリーに進入する際にのみ、キッド面だったと考えられます。しかし16巻では前の小学校の生徒に、キッド面のフクベエがサダキヨだと思われていじめられていました。変ですよね。何で彼らはサダキヨだと確信したのでしょう?

ケンヂたちの小学校へ転入してきてから、誰かにお面をつけていることを強要された、と考えると、根底からひっくり返されちゃうわけです。
誰か、はフクベエかキッド2か、この二人以外は考えられません。
以上、単なる感想から導き出した結論でした。
by aleisia | 2007-01-25 11:40 | 20世紀少年
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