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「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」。普遍的な親子の話。
浦沢直樹氏の「MONSTER」が、アメリカのアイズナー賞にノミネートされましたね。長編部門と、日本マンガ部門のダブルノミネート。日本マンガ部門は今年新設らしいです。それなりに権威のある賞らしい。過去、手塚治虫氏(「ブッダ」)や天野喜孝氏が受賞しているみたいですね。結果は7月。
浦沢氏はリリーフランキー氏らとともに、アルフィーの高見沢氏に詞を提供するんですね。なんという偶然だろうか。アルバム、たぶん買わないと思いますが、顔ぶれの風変わりさに、試聴はしてみようかしら。

さて、そのリリーフランキー氏原作の「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」を見てきました。私は、「泣けるだろう、ほら泣け、泣け泣け」というあざとい演出は大嫌いで、まんまと乗せられてうるうるしちゃった日にゃ、軽く凹みます。その点この映画は、淡々としていて普遍の物語になっていました。

実は、樹木希林さんと娘さんの内田哉也子さんは、初共演ではありません。その昔、NHKドラマ「花へんろ」(1985年)に、親子役で出ています。当時、へえ、これが(失礼)樹木希林と内田裕也の娘かぁ、結構かわいいじゃんと思っていました。長じて本木雅弘氏と結婚した時はびっくりしましたが、スクリーンで見る日が来るとは思ってもいませんでした。日々、びっくりの連続で、ミーハーでよかったなと思います(笑)。

ネタバレにつき、moreからどうぞ。



原作も、SPドラマも連ドラも見ていません。きっと比べてしまうだろうから、意識して避けてきました。
リリーフランキーさんの人となりは、バラエティで見たり聞いたりする程度の知識しかありません。毎週、「おでんくん」は見ています。あのポップな絵柄はそんなに好きじゃないけど、シュールな世界観は好きかもしれない。我が家の窓辺に、おでんくんとガングロたまごちゃんのフィギュアが鎮座しています。

松尾スズキさんの脚本なので、大変化球で来るかと思っていたのですが、いたって正攻法でした。過去と現在の混ざり具合も、笑いのツボもほどよかった。意外や意外、とても上品な脚本でした。全体に抑え気味で、「泣けない」方向へ引っ張ります。そこが泣ける。
途中からぽろぽろ泣いていたのですが、涙腺決壊点は、オカンとオトンが病室でラジオを聞いているシーン。マー君がしょーもないエロ話をしたあと、「キサス キサス」をかける場面です。でもすぐに、若いオカンとオトンがダンスホールでダンスをしている、ちょっと笑える回想シーンに転換してしまい、泣かせ続けさせてくれない。だからこそ泣けるんです。
音楽で盛り上げたりせず、共感させるためにはカットするであろう「4万/dayの差額ベッド代」もさらりと出しつつ、本当にしみじみした映画でした。
役者さんたちはみんな好演でした。勝地涼くんは「ハケンの品格」でちょっと前まで平凡なサラリーマンをやっていたのにねぇ(いや、映画の方が先に撮られてたんですけどね。ハケンの役、最後まで役名を覚えられなかった)。オダギリとは「さとうきび畑の唄」で共演したっけ。若手実力派だと思います。松田美由紀さんをキャスティングしたのは、リリーさんへのプレゼントでしょう。
オダギリジョー氏は、このごろやっといい俳優になってきたなーと思えるようになりました。

最近、「お涙ちょうだい=感動=いい映画」と勘違いしている人が多いように思うなぁ。でもオダジョーが出ていなかったら、たぶん映画館に足を運ばなかったと思う(汗)。

余談ですが、冒頭、「マー君、焼き鳥の串をつっこまれる」シーンで、枕元に絵本、「しろいうさぎとくろいうさぎ」がありませんでしたか? 「ボク」は、何度もオカンに読んでもらった絵本を心の奥底で覚えていて、パンとぶどうを飼うことにしたのかな、と思ったもので。原作読んでみよう。
by aleisia | 2007-04-22 16:18 | 映画
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